オールドノリタケの盛上薔薇文花瓶です。1891年頃~1915年頃にアメリカに輸出され、約100年の時を経て日本に里帰りしてきました。「オールド・ノリタケ名品集」(大賀弓子・若林経子編/2001・平凡社)、「The
Collector’s Encyclopedia of NIPPON PORCELAIN Third Series 日本」(Joan Van
Patten/1986・COLLECTOR BOOKS)に同作品が掲載されています。アール・ヌーヴォ時代の影響を受けた薔薇を描き、盛り上げ装飾でアクセントを付けた素晴らしい作品です。輸出陶磁器におけるデザインでは、花が最も多く、中でも薔薇が一番人気でした。薔薇は中世以来に日本の美術工芸で好まれたモティーフであった為に、絵付け職人にも馴染みがあり描きやすかったと思います。盛り上げは、陶磁器を立体的に見せる技法でオールドノリタケの最も代表的な技法です。古くは宋時代の中国や17世紀のイギリスなどにもあったようですが、近代になって広く知られるところとなったのはオールドノリタケによるところが大きいと言われています。今や欧米でも「MORIAGE」という名で通じ程、高く評価されています。装飾方法はデコレーションケーキを飾る時に使用する生クリームを絞り出すような道具を用いて装飾を行います。職人の精緻な装飾技術で、現代では再現不可能な希少な装飾方法です。